『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』:私たちが幸福に生きるための小商い」

 こんにちは、小野寺慎です。この記事が記念すべき初の投稿になります。今後何卒よろしくお願いします!

今回は僕にドストレートでハマる書籍があったので紹介したいと思います。
『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』です。経済のことや、自然のことについて分かりやすく、情熱とユーモアたっぷりに説明されています。

  • 書籍の概要

農学部を卒業したイタルとマリコの二人が、手を取り合い、自分たちの信念のもとに自然を本当の意味で「活かし」ながらパン屋を切り盛りする。その中で二人は現代社会とその都市生活に次第に違和感を感じ始め、その違和感の元である経済のシステムから抜け出す方法について考えるようになる。その道筋を辿る。

  • 一つ目の主題:資本主義と経済社会のおかしさ

日本において、戦前は多くの人々が家族経営などの形で商売をしていました。八百屋や酒屋、様々な形で個人事業主が存在していたわけです。しかし戦後すぐに大企業化が急速に進み、価格で負ける個人店は次々に廃業し、多くの人が被雇用者、つまりサラリーマンに転職することになりました。

そして現在は、多くの若者が大企業への就職を夢見るようになるほど雇われるということが当然の世の中になりました。企業に勤めることは安定的な収入を得ることにつながります。しかしその影響で多くの命が失われています。「過労死」です。働きすぎて、心や体を病み、命を落とす人々が少なからず出てくるようになりました。

過労死の原因は働かせまくる雇用主(企業)が悪いと普通考えてしまいますが、そうではないとイタルさんは言います。

原因は「資本主義の社会構造」だと言うのです。論理を進めていくと雇用主(企業=資本家)ですら、ある意味では被害者であるというのです。ここに資本主義と経済社会のおかしさが存在します。

資本家の作る企業は利潤、つまりお金を多く手に入れるために存在します。労働者を集めて、企業規模を大きくすることでより多くの儲けを得ようとします。

労働者(=被雇用者)は働くことで、資本家(=企業)から対価として給料をもらいます。給料は月給制であったり、年俸制であったりしますが、多くの場合は労働の多少にかかわらず一定です。

では資本家が多くの利潤を得るにはどうするでしょうか。

それは労働者を多く・長く働かせることです。
労働者を長く働かせることで、労働量を増やし、結果的に利潤を増やそうとします。
それが行き過ぎると過労死やうつ病につながるのです。SNS等を参照すれば仕事に関する愚痴や文句を多く見ることができることからわかるように、そこまでいかなくとも多くの人はストレスを抱えながら働いています。
多くの人にとって仕事が苦痛になってしまっているのです。

  • 二つ目の主題:資本主義のおかしさから抜け出すには

労働者として働いても、労働によって不幸になってしまう。どちらかと言えば資本家になることがよっぽど望ましいが、利潤を求めれば雇用者を不幸にしてしまうかもしれない。このジレンマを避けるには、利潤を追求することなく身の丈に合った商売を行う「小商い」がぴったりだとイタルさんは言うのです。

・「労働力」の切り売りをせず「生産手段」を持て

労働力を給料に変えて生活しても資本家にいいように搾取され、幸せな生活が困難になることがあります。世界が不況になれば物価は安くなるが、給料は減る。好景気になれば、多少給料が増えても物価が上がる。労働で給料を得ても、自分の力では豊かさを手に入れることはできません。

そう考えたイタルさんとマリコさんは、パン屋としてオーブンなどの「生産手段」を手に入れ、「小商い」を始めます。

「小商い」とは、利潤を追求せずに自分たちの身の丈に合った商売を行い、細々と生活することです。
小商いによって資本主義のおかしさから逃れ、自然体で生活できるようになると言います。そうして始まった田舎のパン屋「タルマーリー」。ここでは本当の意味で、自然と共に生活し、心身ともに豊かな生活が行われています。

・「生産手段」を持て:私たちができること

生産手段を持つことは、私たちにとって困難なことではありません。必要なのはたった一つのペンや、一つのノートパソコン、あるいは一つの楽器かもしれません。

大学生ブロガーとして有名な八木仁平氏の生き方はまさに信念を貫く「小商い」の理想的なモデルの一つだと言えます。『八木仁平オフィシャルブログ

私たち一人の信念や好みに従って、「小商い」をすればいいのです。量や利潤にこだわることなく、自分の考えを最大限に生かしていけば、それがあなたのブランドになります。

――「人と違うことをしよう」という発想は「人と違うことがない」ということを自覚していることの裏返しでしかないのだ。ーーp.230より

ブランド戦略という言葉が広まる今の世に逆行しているようにも感じられますが、この言葉は真実であると私は思う。

・田舎に暮らすという選択肢

「まだ東京で消耗してるの?」という言葉が一時期流行ったけれど、考え方の一部は近いものが有ります。。田舎は物価が安く、コミュニティとしての力が強い。小商いに丁度良い。
しかし「まだ東京で消耗してるの?」の考え方と違うのは、田舎を盛り上げたいという意思の有無です。ここ大事。コミュニティの一部として小商いを通じて、地域を活性化させる。そのような気持ちがあれば、住民の人々にもつながり商売がうまくいくと私は信じています。そして私は将来、田舎で小商いをやってみたいなんて思っています。

・田舎のパン屋「タルマーリー」が教えてくれたもの

この書籍から教わることは本当に多い。この記事では触れていませんが、パンを作る中で感じた自然との付き合い方や、小商いの考えを深化させた「腐る」経済についてなどぜひ読んでもらいたいと思います。今の生活に違和感を感じている人は、占いとかに行くより良いかもしれませんねえ…。僕は感じる部分が多かったのでまた同じ内容で記事を更新するかもしれません。読んでいただいてありがとうございます。

渡邉 格:千葉大学園芸学部卒。「タルマーリー」での自然由来の天然菌でのパン作りに精を出している。最近は天然菌を使ったビール造りなど様々な形で私たちの舌を楽しませてくれている。すげえ人。
現在タルマーリーではパンだけでなく、ビールも自家製天然酵母で作っています。
タルマーリー ~野性の菌で醸すパン、地ビール&カフェ

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